AGA（男性型脱毛症）は、進行性の脱毛症であり、主に遺伝的要因と男性ホルモンの一種であるDHT（ジヒドロテストステロン）が関与しています。AGAの特徴は、頭皮の毛根が小さくなることで髪の毛が次第に細く短くなり最終的に抜け落ちてしまうことです。特に額の生え際や頭頂部から薄毛が進行するのが典型的なパターンとされています。

AGAの進行度は「ハミルトン・ノーウッド分類」という国際基準によって評価されます。

この分類をもとに、薄毛の進行具合や治療の必要性が判断されることが一般的です。AGAは進行性のため、早期の対策が重要とされており、適切な治療を行うことで進行を遅らせることが可能と考えられています。

健康な人でも1日に50～100本程度の髪が抜けるのは自然なことですが、AGAによる脱毛は通常の抜け毛とは異なります。

通常の抜け毛は髪の太さが変わらず季節によって抜け毛の量が増減し、頭部全体から均等に抜けます。抜けた後も数か月で新しい髪が生えtてきます。

一方、AGAによる抜け毛は髪の太さが徐々に細くなり、前頭部や頭頂部から進行します。季節に関係なく進み、新しい髪が生えにくかったり、生えても細いままのことが多いのが特徴です。

AGAの進行パターンは大きく分けて3つあり、人によって異なります。

M字型：
額の生え際から徐々に後退していき、典型的なM字型の形状を形成していくパターンです。最も一般的な進行パターンの一つです。

O型：
頭頂部から薄くなり始め、徐々に範囲が広がっていくパターンです。初期は気付きにくいため、進行してから発見されることも多くあります。

U型：
前頭部から薄くなり始め、頭頂部に向かって進行していくパターンです。比較的若い年齢から始まることがあります。

ハミルトン・ノーウッド分類は、男性型脱毛症（AGA）の進行度を評価する国際的な基準です。1951年にジェームズ・ハミルトン博士が考案し、後にオーニール・ノーウッド博士が改良を加えたことから、この名称が付けられました。

タイプⅠからタイプⅦまでの7段階で薄毛の進行度が分類されており、それぞれ特徴的な脱毛パターンが見られます。
また特殊な分類としてタイプⅢVertexがあり、これは頭頂部に明確な脱毛が見られる状態を示します。

AGA治療は保険適用外です。
これはAGAが「生活に支障をきたす病気」ではなく、「美容的な問題」と見なされるためです。

ただし頭皮の炎症や皮膚疾患がある場合、それに対する治療は保険適用となることがあります。皮膚科やAGA専門クリニックを受診する際に、頭皮の状態も診てもらうのがおすすめです。

実はAGA対策の第一歩は髪の生える土壌である「頭皮環境」を整えることから始まります。
毎日のシャンプーは、私たちが無意識に行っている頭皮ケアの基本。正しいシャンプー方法を身につけることで頭皮環境を改善し、健やかな髪の成長をサポートしましょう。

■シャンプー前の準備
ブラッシングでほこりや抜け毛を取り除く。

■予洗い
ぬるま湯（32〜37℃）で1分ほど頭皮全体を濡らし、汚れの大半を落とす。

■洗髪のコツ
シャンプーは手のひらで泡立て、指の腹で優しくマッサージしながら洗う。

■すすぎと仕上げ
シャンプー成分を完全に洗い流し、トリートメントは毛先にのみつける。

■乾燥
洗髪後はタオルで押さえるように水分を取り、ドライヤーで根元から乾かす。

適切な頻度でシャンプーを行い、頭皮に負担をかけない洗い方を心がけましょう。

髪の毛の成長サイクルは主に3つの段階に分けられます。

成長期
髪の毛が実際に伸びている期間で通常2〜6年続きますが、日本人の平均は3〜4年といわれています。この時期は髪の毛の根元にある毛母細胞が活発に分裂し健康な髪を作り出します。

退行期
約2〜3週間の短い期間で、髪の成長が止まり、毛根が収縮して抜け落ちる準備を始めます。

休止期
約3ヶ月間続き、古い髪が自然に抜け落ち、新しい髪が生える準備が整います。

健康な頭皮では約85〜90%の髪が成長期にあり、残りが退行期と休止期に分散しています。このバランスが保たれているため、日常的に抜け落ちる髪があっても全体としての髪のボリュームは維持されるのです。

AGAの治療や対策の本質は、乱れたヘアサイクルを正常化することにあります。

AGAの予防と改善には、日常的な生活習慣の見直しが重要です。

■食生活の改善

AGAの予防には適切な栄養摂取が欠かせません。
・髪の主成分であるケラチンの原料となるタンパク質を十分に摂取する
・頭皮の血行促進や細胞代謝を促すビタミンB群を含む食品を取り入れる
・髪の成長を促進し、抜け毛を防ぐ亜鉛を意識して摂る（牡蠣、牛肉、ナッツ類）
・ビタミンCやEを含む、抗酸化作用のある食品を摂取する。 ・動物性油脂や糖分の過剰摂取は避け、バランスの良い日本食を中心とした食生活を心がける

■ストレス管理
・リラクゼーション法を定期的に実践する。
・メンタルヘルスのモニタリングを行い、必要に応じて専門家のサポートを受ける

■睡眠の質の向上
・質の良い睡眠でホルモンバランスを維持する
・寝る前の2~3時間は重い食事を避ける
・定期的な運動を行うが、寝る直前の激しい運動は避ける

現代社会で避けられないストレスは、AGA進行を間接的に促進する要因と指摘されています。
「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールの過剰分泌が自律神経を乱し、頭皮血流の悪化を通じて毛根の栄養不足を招くのです。

効果的なストレス管理には、週3回以上のヨガや漸進的筋弛緩法を継続するするのがおすすめ。十分な睡眠と規則正しい生活リズムの維持も重要です。

AGA治療とこれらのストレス対策を組み合わせることで治療効果の向上が期待できます。

鏡で生え際が後退していないか（M字部分など）、頭頂部の地肌が透けて見えないかを確認します。
抜け毛が細く短い、髪にハリやコシがなくなった、という変化もサインです。気になる場合は専門医の診断を受けましょう。

治療実績が豊富か、治療法の選択肢が多いか、料金体系が明確か、説明が丁寧か、通いやすいか等がポイントです。
無料カウンセリングを活用し、信頼できる医師か見極めることが大切です。

汗自体が直接薄毛の原因ではありません。
しかし、汗を放置すると頭皮で雑菌が繁殖し、かゆみや毛穴詰まりの原因となり、頭皮環境が悪化する可能性があります。汗をかいたら早めに拭き、清潔を保ちましょう。

まず髪の主成分であるタンパク質（肉・魚・大豆製品など）が重要です。
次に、その合成を助ける亜鉛（牡蠣・レバーなど）、頭皮環境を整えるビタミンB群（豚肉・納豆など）の摂取も意識しましょう。バランスの良い食事が基本です。

効果を維持するためには、基本的に治療の継続が必要です。治療をやめるとAGAの原因物質の影響が再び現れ、薄毛が進行する可能性が高いためです。

はい、20代や30代でも発症します。原因は同じく男性ホルモンや遺伝ですが、進行が早い場合もあります。早期の気づきと相談が大切です。

ワカメ等の海藻類はミネラルを含み髪の健康維持に役立ちますが、「ワカメを食べれば髪が生える」は俗説です。髪の主成分はタンパク質なので、バランスの取れた食事が基本です。

いいえ、ドライヤーで正しく乾かす方が推奨されます。
自然乾燥は髪のキューティクルが傷つきやすく、頭皮で雑菌が繁殖するリスクがあります。ドライヤーで素早く乾かす方が頭皮環境には良いです。

帽子自体が薄毛の直接原因ではありません。ただし、蒸れた状態を放置すると雑菌繁殖などで頭皮環境が悪化し、間接的に抜け毛につながる可能性はあります。清潔と換気を心がけましょう。

血行促進やリラックス効果があり、健康な頭皮環境を保つ助けになります。しかし、マッサージだけでAGAが治るわけではなく、あくまで補助的なケアと考えるのが適切です。

いいえ、俗説です。抜いても周囲の毛穴に影響はありません。ただし、抜くと毛根や頭皮を傷つけるリスクがあるので、根元でカットする方が良いでしょう。

カラーやパーマのダメージで抜け毛が増える可能性はありますが、AGAの直接原因ではありません。頻度を空ける、頭皮に優しい方法を選ぶ、ケアを徹底するなどでリスクは減らせます。

まずシャンプー前にブラッシングでホコリを浮かせ、ぬるま湯で頭皮と髪を十分に予洗いします。シャンプーは直接頭皮につけず、手のひらでよく泡立ててから、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう。爪を立てるのは厳禁です。すすぎはシャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧に行うことが重要です。